感染率100%の猫パルボウイルスの症状とは?感染経路と治療法も解説
猫のパルボウイルス感染症は、
ワクチンで当たり前に予防されているものです。
でも、運悪く感染してしまうと
免疫力・体力がない猫にとっては
致命的になることがあります。
FIV(猫エイズ)やFeLV(猫白血病)などは
有名になってきましたが、
パルボウイルス感染症については
まだまだ知られていないことが多いです。
一般的な症状は下痢なんですが、
重症化すると血液にも影響が出てきます。
そこで、猫のパルボウイルス感染症の症状や
感染経路、治療法について紹介していきます。
子犬のパルボウイルス感染症と同じで
とても怖い病気なので、予防のためにも
治療のためにも敵を知っておきましょう。
この記事に書いてること♪
猫パルボウイルスは嘔吐と下痢が主な症状
猫パルボウイルス感染症の主な症状は、
激しい下痢や嘔吐などの消化器症状です。
これだけだと猫伝染性腹膜炎にも
似ているのですが、進行してくると
血液検査で顕著な白血球減少がみられるのが
特徴です。
この血球異常のため、この感染症は
猫汎白血球減少症とも言われます。
子猫が水のような下痢をしているときは、
様子を見ようとせず早めに
病院へ連れて行きましょう。
下痢や嘔吐が続くと子猫はすぐに
脱水症状になってしまうため、
早急な治療が必要です。
ただ初期症状は食欲が無かったり
元気がなかったりという他の病気にも
当てはまるものであるため、どうしても
確定診断が付き辛い面はあります。
1.子猫の場合50%が死に至る
子猫の致死率が高く、50%とも90%とも
言われています。
成猫は軽い下痢で済んでしまうことも
ありますが、免疫力の落ちた子などは
注意が必要です。
できる限り死亡する確率を減らすためには、
早めの治療が重要です。
治療のためには検査も重要になるので、
病院でパルボウイルス検査を勧められた場合は
念のため実施すると安心につながります。
その検査を勧められるということは、
症状がパルボウイルス感染症として
疑わしいということですから。
2.嘔吐下痢による脱水とエンドトキシン血症が危険
子猫は嘔吐や下痢になるとすぐに脱水症状を
起こします。
身体が小さいので元々の水分の蓄えが少なく、
嘔吐や下痢ですぐに出ていってしまうんです。
重篤化すると腸管粘膜が破壊されることで
血中に大腸菌が侵入し、エンドトキシン血症と
呼ばれる状態になります。
これは所謂敗血症というもので、血液中に
細菌の毒素がまわってしまうものです。
低血糖や発熱、血小板減少症に続く
多臓器不全を引き起こし、この状態になると
治療を施しても死んでしまう子も多々います。
猫パルボウイルスの感染経路
パルボウイルスの感染経路は
基本的には経口です。
このウイルスに感染した猫の糞便や嘔吐物が
なんらかの方法で経口的に身体に入ることで
感染が成立します。
空気や接触では感染しませんが、猫は
グルーミングをするため身体にウイルスが
ついているとそれを舐めとってしまうことが
多いです。
このウイルスはウイルスの中では
生体外での耐久力が強く、生物の身体から出ても
涼しい環境下では1年以上感染性を持つと
言われています。
消毒液にも強いので、次亜塩素酸のような
特殊な消毒液でないと
滅菌することができません。
猫パルボウイルスの治療法
恐ろしい病気ということは分かりましたね?
ですが、感染症はどんなに予防しても
100%は予防できません。
万が一猫パルボウイルスが感染して
発症してしまったとき、
どんな治療をすれば良いのでしょうか。
1.猫パルボウイルスに直接効く薬はない
まず、パルボウイルスに対する
特効薬はありません。
少し前までインフルエンザにも
タミフルのような特効薬がなかったように、
ウイルスに対しては人獣ともに
あまり特効薬がないのです。
そのため、基本的には対症療法を主体とした
治療を行っていきます。
対症療法とは漢字のとおり、
「症状に対する治療」のこと。
下痢していたら下痢止めを使って
吐いていたら吐き気止めを使うなど、
根本的な治療ではありません。
ウイルス感染症ということで
タミフルを使用することもありますが、
インフルエンザウイルスがRNAウイルスに
対しパルボウイルスはDNAウイルス。
タミフルが標的としている
ノイラミニダーゼという酵素を
パルボウイルスは必要としていないため、
二次感染を起こす細菌の増殖への
対策となります。
2.脱水症状にならないよう点滴
下痢や嘔吐をしているとき、
動物の身体は脱水症状を起こしやすいです。
それは便にも水分が含まれているし、
胃液にも水分が含まれているから。
特に子猫は身体が小さいため、成猫に比べて
すぐに脱水症状になってしまいます。
脱水を起こしているとそれだけで
元気もなくなってしまうので、
とにかく補液をして水分を
失わないようにすることが大切です。
入院なら静脈から点滴をし、
通院なら皮下補液を下痢と嘔吐の症状が
なくなるまで続けます。
3.対処療法をしながら猫の生命力を信じるしかない
対症療法として、下痢には下痢止めを
吐き気には吐き気止めを使っていきます。
腸管の破壊による大腸菌の二次感染を
防ぐために、抗生物質も併用することが多いです。
あとは猫の体力。
どれだけ食に対して執着があるかどうかが
分かれ目になってきます。
食べないと力が出ないので、長期戦になると
どうしてもウイルスに勝つことが
難しくなってきます。
今日からできる猫パルボウイルスの予防
こんな恐ろしい猫パルボウイルス感染症は、
どうすれば予防できるのでしょうか。
おうちに来る前に感染していた場合には
仕方ないですが、自分の家族として
迎え入れたからには可愛い猫を
守りたいですよね♪
悲しい思いをしないために、
怪しいブリーダーからは猫を購入しないのは
大前提。
野良猫を保護した場合には運を信じましょう。
それ以外にどんなことに
気を付ければ良いのでしょう。
1.猫を完全室内飼いにする
猫を完全室内飼いにしましょう。
室内飼いにすることで、パルボウイルス以外にも
白血病やエイズ、交通事故など
あらゆる危険から猫を守ることができます。
もちろん猫にとっては外の世界は魅力的。
野良猫は安全と引き換えに自由きままな生活を
手に入れています。
完全室内飼いは猫に我慢をしてもらうことにも
なるので、快適な生活ができるように
環境を整えてあげてください。
飼い主さんも、外から帰ってきたら
手を洗うなど病原体を家に持ち込まない努力を
してください。
人間って色々なところに行くので、
動物にしてみれば病原体の運び屋にも
なってしまうのです。
2.定期的なワクチン接種を怠らない
猫の混合ワクチンには
3種、4種、5種、7種があります。
そのすべてに猫パルボウイルスの抗原が
含まれているんです。
それほどまでに感染しやすく
重要なウイルスということ。
室内飼いでも脱走や飼い主さん経由など、
どんな原因で感染するか予想がつきません。
そのため、室内飼いでも油断せずに
定期的なワクチン接種を徹底しましょうね。
ワクチンを接種していれば万が一感染しても
軽症で済むこともあるため、アレルギーなど
特殊な理由がなければ猫の健康のために
ワクチンを打ちましょう。
まとめ
猫のパルボウイルスの恐ろしさは
分かりましたか?
- 致死率、感染率ともに高いウイルス疾患
- 主な症状は嘔吐と下痢
- 特効薬がないため、猫の体力と予防が重要
今世間にパルボウイルスがまん延して
いないのは、動物医療にかかわる人たちが
ワクチン接種を地道に進めてきたからです。
犬も猫も、昔はパルボウイルスが流行ると
周辺の犬猫が大量死したりという悲劇が
起きていたんです。
その悲劇を繰り返さないためにも、
何よりもおうちの猫のために
感染予防を徹底しましょう。
もの凄い神経質になる必要はありませんが、
怖いウイルスなんだってこと、
覚えておいてくださいね。
FIVとFeLVと並んで流行が問題視されている
病気、FIPについても紹介しているので
チェックしてみてください↓
⇒猫伝染性腹膜炎(FIP)は予防できるの?感染したら治らない?
これはパルボウイルスよりもやっかいで、
予防薬すら存在しません。
発症すると悲劇的な転機を遂げることが多い為、
なんとかして発症を防ぎましょう。
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